共感したい!遠距離恋愛をテーマにしたオススメ文庫本

遠距離恋愛はいつの時代にも不変的なテーマで、文庫本に綴られているそのストーリーは多くの読者に共感を呼び、それがハッピーエンドでもたとえバッドエンドだったとしても同じような境遇で悩んでいるカップルへのヒントが散りばめられています。
2010年に新潮社から刊行された小手鞠るいさん作の「エンキョリレンアイ」は、東京とアメリカでそれぞれ暮らしているカップルが距離だけではなく時差の壁が立ちはだかる中で13年間もの時間を過ごした壮大なストーリーです。
書店でアルバイトをしていた主人公で大学生の桜木花音は間もなく卒業して東京に帰る予定でしたが、アルバイトの最後の日に絵本を探していた井上春海と運命の出会いを果たします。
しかし、春海は料理人になりたいという夢を叶えるためにアメリカへの留学が決まっていました。
春海が一度東京に戻ってからアメリカへ向かうことを知った花音は、内緒で成田空港へ行くと再会を果たし付き合うことになりました。
その後のやりとりはパソコンのメールのみとなり、時差と仕事があることから電話もすることもできませんでしたが、そんな2人の切ない「エンキョリレンアイ」は13年も続きます。
2016年にKADOKAWAから刊行された大場惑さん作の「ほしのこえ」は、これまでに無かったSFの遠距離恋愛小説として大きな話題となりました。
2039年にNASAの調査隊が地球外生命体タルシアンにより絶滅されられたのを期に、人類は対抗するための研究を続けていました。
この世界に生きていた主人公のノボルとミカコはお互いに惹かれ合い、同じ高校への進学を目指していました。
そんなある日、ミカコがタルシアン調査隊のメンバーに選ばれたことが分り、2047年に宇宙へと旅立ったミカコと地球に居るノボルとの連絡手段はメールのみであるだけではなく、地球から遠ざかるごとに送受信に時間がかかるようになります。
一方でタルシアンと人類との戦闘が始まり、2人の遠距離恋愛は運命に翻弄されて行きます。
2007年に文藝春秋から刊行された乾くるみさん作の「イニシエーション・ラブ」は、静岡と東京を舞台にside-Aとside-Bの二部構成で、「通過儀礼」を意味するタイトルにあるイニシエーションという言葉は後に大きな意味を持ちます。
side-Aでは主人公の鈴木夕樹が人数合わせのために合コンに参加することになりましたが、そこに参加していた歯科衛生士の成岡繭子に一目惚れしてしまいます。
その後、小説が好きだと言う共通の趣味があることが分った二人は本の貸し借りをしていくうちに親密な仲になり、いつしか恋人同士になります。
side-Bでは仕事の関係で遠距離恋愛となり、繭子に会えないことから夕樹は心身共に疲れ果ててしまいます。
最初は毎週会う約束をしていましたが仕事が忙しいこともあり徐々に頻度が減り、ついに3週間目にやっと合えたかと思うと繭子から「生理がこない」と告げられます。
そんな2人には意外な結末が待っており、イニシエーションの意味を知ることになります。
2013年に集英社から刊行された嶽本野ばらさん作の「十四歳の遠距離恋愛」は、2000年が舞台になっており14歳の主人公がロリータファッションにはまっていたところ、クラスメイトにその姿を見られて学校でばらされたのをきっかけにクラス中からバカにされるようになりますが、そんな時にかばってくれたのが同じクラスの藤森くんでした。
藤森くんは昭和のガキ大将のような格好をしており学校中の笑いの的だったことから、最初はありがた迷惑だと思っていたものの、この出来事をきっかけに話すことが増えてやがて二人は恋に落ちます。
そんなある日、藤森くんは父親の仕事の関係で東京に引っ越すことになりました。

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